おじさんは予防線にはなりません
アパレル商社なので当然、紳士服だってあるし、意外なところでは呉服部だってある。

「どれがいいのかな……」

お礼を社割りで買おうとしているのに若干の罪悪感は覚えるが、金額を押さえていいものが買えるのならそれに越したことはない。
それに池松さんはスーツやなんか一式、社販ですませていると言っていたので、趣味も合うはずだ。

「あれ、羽坂さんじゃん。
なにやってんの?」

ひょこっと棚の後ろから顔を出したのは、同じレディースファッション部で数少ない男性社員、宗正さんだった。

「……えっと」

人なつっこく笑う宗正さんに口ごもってしまう。

私はこの、宗正さんが苦手なのだ。

長めの前髪でマッシュヘア? にした宗正さんはちょっと幼く、可愛く見える。
だからか、部署の女性にはすごーく可愛がられているけれど。

――私にはそれが、計算に思えてならないのだ。
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