おじさんは予防線にはなりません
「ありがとうございます」

宗正さんには愛想笑いを返しておく。
それくらい、この人の可愛いは軽いから。


あれから、宗正さんはちょくちょく絡んでくるようになった。
その意図がわからないほど、私だって鈍くない。
けれどこんな地味な私のどこがいいのか理解できなかった。

「羽坂ちゃん、今度デートしようよ、デート。
前に森迫のオバサンに襲われてここ怪我したの、オレのせいなのにお詫びしてないし」

ちょんちょん、うっすらと痕の残る私の左頬と同じ自分の左頬をつつき、目尻を下げてにっこりと宗正さんは笑った。

「……考えて、おきます」

ちらちらと池松さんをうかがってしまう。
所在なさげに立っていた池松さんだけど、目があうとよかったなとでもいうのかにこっと笑った。


ふたりがいなくなり、はぁっと小さくため息をつく。

池松さんにヤキモチを妬いてほししいとはいわない。
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