おじさんは予防線にはなりません
宗正さんを狙っていたのは森迫さんひとりだけじゃない。
しかも彼女たちは森迫さんが異動という脱落をしたことによって、競争率が下がったと喜んですらいる。

……残業にならないようにきびきびやらないと。

私は猛然と、経費の処理からはじめた。



お昼休み返上でキーを叩いていたら、ガサゴソとコンビニの袋の音とともに誰かが私の傍で足を止めた。

「羽坂ちゃん、お昼行かないの?」

「ちょっと立て込んでいるので無理です」

画面から視線を逸らさず、声をかけてきた宗正さんに返す。

「んー、聞くけどさ。
おにぎりだったら食べながらできる?」

宗正さんはどういうつもりなのか、隣の席に座ってきた。

「まあ、できなくもないですけど」

いったい、なにが言いたいのだろう。
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