この溺愛にはワケがある!?
そうして車で20分ほど走り、着いたところは港の埠頭。
抜けるような青空の中、潮の香りの満ちるその風景に美織は降りてすぐ大きく背伸びをした。
ライトブルーにマリンブルー、その溶け合うコントラストは素晴らしく、日常の煩わしさなど一気に払拭する力を持っている。
「うーんっ!癒されるーーー」
「それは良かった。毎日客対応してると疲れるしな」
運転席から降りた隆政が隣に立って言う。
「ううん、人と話すのそんなに嫌いじゃないしそれほど。まぁ、確かに変な人もたまに来るからその時は結構疲れるかな」
(あなたのような、ね)
と、言いたいのを我慢する。
「意外だな、あまり人と関わりたくないタイプだと思ってた」
「失礼な!それ見た目の地味さで判断したでしょ?!」
「ふっ、はい、すみません」
と半笑いで意地悪そうな顔をすると、次にとんでもなく素敵な笑顔で笑う。
(………そう、こういうギャップがきっと女にモテるんだわ、要注意!)
「予想を裏切って申し訳ございませんね!どうせ地味で、メガネの平凡な女ですからね」
「メガネは関係ないんじゃないか?」
(………そこかよっ!!)
心でツッコミをいれる美織をよそに、隆政は話を続けた。
「最初はコンタクトだったよな?なんで?」
「え?ああ、着物だったから?着物にメガネは似合わないでしょ?」
「ふぅーん………」
「何ですか?あー、メガネよりコンタクト派?ま、世の男性はメガネよりコンタクトの女の方が好きよね?」
美織が自虐的に言うのを見て、なぜか隆政は無言でじっと見つめ返してくる。
その変化についていけず、美織は少しおろおろして目を伏せた。
「はっきり言って、メガネをかけてる方がかわいい。ていうか………そそる」
「そぉっ!?」
(そそるって何ですかっ!!)
「あのな……そのレンズの向こうにある隠された何かを暴きたいと思うんだ。そういうのが男の本能としてある。いや、俺の本能か?」
「し、知らないわよっ!」
首を傾げて笑う隆政に、とうとう美織は我慢していたツッコミを口にする。
「ははは、いいね。みおのそういうギャップが堪らなくそそる」
(何よーー!何だって言うのよー!友達を口説いてどうする気!?)
「さてと……そろそろ、開いたかな。近くに海が一望出来るカフェがあるんだ。そこで昼飯を食おう」
「えっ!?カフェ!?わぁ凄い!楽しみ!」
『昼飯』という芳しき悪魔のパワーワードに、美織の思考から全ての怒りが消え去った。
隆政のセクハラ紛いの発言も『昼飯』によって上書きされていく。
そんな現金な美織に隆政は蕩けるような笑顔を向ける。
そして腕時計を確認すると、スマートにとても自然に、美織をエスコートし海沿いの道を歩き始めるのだった。
抜けるような青空の中、潮の香りの満ちるその風景に美織は降りてすぐ大きく背伸びをした。
ライトブルーにマリンブルー、その溶け合うコントラストは素晴らしく、日常の煩わしさなど一気に払拭する力を持っている。
「うーんっ!癒されるーーー」
「それは良かった。毎日客対応してると疲れるしな」
運転席から降りた隆政が隣に立って言う。
「ううん、人と話すのそんなに嫌いじゃないしそれほど。まぁ、確かに変な人もたまに来るからその時は結構疲れるかな」
(あなたのような、ね)
と、言いたいのを我慢する。
「意外だな、あまり人と関わりたくないタイプだと思ってた」
「失礼な!それ見た目の地味さで判断したでしょ?!」
「ふっ、はい、すみません」
と半笑いで意地悪そうな顔をすると、次にとんでもなく素敵な笑顔で笑う。
(………そう、こういうギャップがきっと女にモテるんだわ、要注意!)
「予想を裏切って申し訳ございませんね!どうせ地味で、メガネの平凡な女ですからね」
「メガネは関係ないんじゃないか?」
(………そこかよっ!!)
心でツッコミをいれる美織をよそに、隆政は話を続けた。
「最初はコンタクトだったよな?なんで?」
「え?ああ、着物だったから?着物にメガネは似合わないでしょ?」
「ふぅーん………」
「何ですか?あー、メガネよりコンタクト派?ま、世の男性はメガネよりコンタクトの女の方が好きよね?」
美織が自虐的に言うのを見て、なぜか隆政は無言でじっと見つめ返してくる。
その変化についていけず、美織は少しおろおろして目を伏せた。
「はっきり言って、メガネをかけてる方がかわいい。ていうか………そそる」
「そぉっ!?」
(そそるって何ですかっ!!)
「あのな……そのレンズの向こうにある隠された何かを暴きたいと思うんだ。そういうのが男の本能としてある。いや、俺の本能か?」
「し、知らないわよっ!」
首を傾げて笑う隆政に、とうとう美織は我慢していたツッコミを口にする。
「ははは、いいね。みおのそういうギャップが堪らなくそそる」
(何よーー!何だって言うのよー!友達を口説いてどうする気!?)
「さてと……そろそろ、開いたかな。近くに海が一望出来るカフェがあるんだ。そこで昼飯を食おう」
「えっ!?カフェ!?わぁ凄い!楽しみ!」
『昼飯』という芳しき悪魔のパワーワードに、美織の思考から全ての怒りが消え去った。
隆政のセクハラ紛いの発言も『昼飯』によって上書きされていく。
そんな現金な美織に隆政は蕩けるような笑顔を向ける。
そして腕時計を確認すると、スマートにとても自然に、美織をエスコートし海沿いの道を歩き始めるのだった。