かわいい戦争
最初に天兒さんが幸珀さんの隣に座ったのが、なんだか意外だった。
それに剛さんにはタメ口なのに、幸珀さんのことはさん付けで敬語。
「天兒さん、敬語使えたんだ……」
「あいつは自分が認めた人には敬語使うぜ?めちゃくちゃ限られてるけどな」
「認めた?」
「そう。幸珀さんのことは腕っぷしで負けたから認めたんじゃなかったかな」
小声で教えてくれた勇祐くんも、追加で増やした椅子に座ってメニューを眺める。
腕っぷしで負けたから……!?
何その弱肉強食的な決め方。
不良の考えることは理解不能だ。
「で、どっちが奢ってくれるんすか~?」
「剛」
「幸珀」
「いやいや奢ってくれる前提で話すなよ、未來。自分で出しますよ!」
「……勇祐がいい奴すぎて、わたし泣けてくる……っ」
「勇祐、安心しろ。このウソ泣きババアが奢るから」
「誰がババアだ、アホ坊ちゃん。わたしはまだ24だし!ぴっちぴちだし!」
「お姉さん……」
「ひつじ!なんて嬉しいことを言ってくれるの!勇祐とひつじは奢ってあげる!剛が!」
「結局俺かよ。今のは幸珀が自発的に奢る流れだったろ」
「もうどっちでもいいんで頼んでいっすか~?」
「俺、味噌ラーメンな」
「勇祐とひつじはすっごくいい子なのに、未來と利希は厚かましいな。『幸珀先輩さすが!大好き!らぶ!!』とか言えないの!?」
「気持ち悪い理想を熱弁するな。ラーメンがまずくなるだろ」
「残念でしたー。ここのラーメンはどう足掻こうとまずくはなりませーん」
「うわ、ウザ」
……会話のテンポが速すぎて、入っていけない。