かわいい戦争
でも曖昧にもなってしまう。
たぶんわたしも皆と似た表現になる。
それくらいキャバクラは……あのお店は別世界だった。
当たり障りない日常とも、暴走族の棲む裏の世界とも違う。
危うくも繊細な女の園。
いつでもどこでも美しく舞う蝶のごとく妖艶で在り続けようとする彼女たちの戦う姿勢には、ただの女子高生なんかに真似できっこない信念があった。
「海鈴ちゃんは?どうだった!?」
「……かっこよかったです」
「海鈴ちゃん……君もか……」
求めるものは違えど、璃汰もリンカさんもそれぞれの”かわいい”のためにあらゆるものを犠牲にして頑張っていた。
2人とも、すごく素敵で、かっこいいよ。
「潜入自体はどうだったんだ?」
剛さんが質問したタイミングで、注文した1品目が運ばれてきた。
羽根つき餃子に全員箸を伸ばす。
「もうひとつだったな」
「ふーん。なんで?」
天兒さんらしい意見だな。
絶対に褒めたり高評価したりしないところ。
「クソ雑魚をいじめんのも足んなかったし、璃汰は璃汰でただのかまってちゃんでウザかったし」
「璃汰って……キャバ嬢の娘だっけか」
剛さんが思い出したように呟いた直後。
どんがらがっしゃん!
カウンターの奥の調理場から物音が響いた。
「あはは……し、失礼しました」
「お父さん、大丈夫!?」
「大丈夫、大丈夫」