かわいい戦争
調理器具を落としちゃったようだ。
ミスするなんて珍しい。
……もしかして、璃汰の名前を出したから?
お父さんとお母さんの前ではあまり璃汰のことを話したことはなかった。
話せなかった。
2人を悲しませてしまいそうで。
「クソ雑魚とかかまってちゃんとか掘り下げたいところはたくさんあるけど……璃汰ちゃんもそこにいたの?」
「俺が呼びました」
はい出ましたドヤ顔。
幸珀さん、「ナイス」じゃないです。
「璃汰はかまってちゃんじゃないですよ」
「あ?」
「……っ、そ、その逆……です」
漆黒の目の迫力に耐えらない。
怖すぎる……!
だけどここはちゃんと訂正しなくちゃ。
「今までかまってもらえなかったから、疑心暗鬼になって、愛情も信頼も素直に信じられなくて突っぱねちゃってるんです」
かまわれないことが当たり前で。
無条件で愛されるのは当たり前じゃなくて。
だから臆病になって、強がってる。
そんな、弱くて強い、かわいい子なの。
「ウザくなんて、ないです」
「そうだよ。リッキー、最低」
「もう少し言い方考えたら~?」
「お前のねじ曲がった性格、叩き直してやりてぇ……」
「ハッ、やれるもんならやってみろ」
ひつじくんたちが同意してくれるとは想定していなくて、ちょっとびっくりした。
天兒さんの態度は相変わらずだけど、璃汰の居場所がここにもあることが誇らしい。