かわいい戦争
わからないよ。
お父さんが不倫していたかもしれないとか。
わたしと須夜崎さんが異母姉妹だとか。
理解はできても、やすやすと受け入れられない。
『信じないのも落ち込むのもあなたの勝手だけど、もう1枚のほうもちゃんと見なさい』
苛立ちながら吐き捨てられた浅い息に、慌ててもうひとつの紙を抜き取った。
先ほどより一回り小さいサイズの便せんだ。
《拝啓 須夜崎さま》
縦書きで綺麗に綴られた文字。
お父さんの字だ。
《僕は、僕たちは、あなたに謝ってほしいわけではありません。あなたにされたことはきっとこの先ずっと忘れられないし、許せない。だけど、あなたとあなたの子どもが、あなたの家族が、不幸になるのはもっと許せない。
償いたいのであれば、もう謝らないでください。手紙も要りません。その代わりに、子どもを幸せにしてあげてください。あなたたちに関わることは二度とないでしょうが、僕と妻はあなたたちの幸せを心から願っています。あなたも僕たちの幸せを願ってくれると嬉しいです。
今夏、僕たちにも娘ができました。「海」に「鈴」で海鈴、カイリといいます。海鈴も、あなたの娘・璃汰ちゃんも、いずれ大きくなったら事実を知ることになるでしょう。たとえ知ったとしても壊れることのない幸せを、お互いに築いていきましょう。どうかお元気で》
……どういうこと?
わたしの家族と須夜崎さんの家族の間には、何があったの?
ただひとつわかったのは
家族の愛は本物だったということ。
『こ、これは……?』
『あなたの父親があたしの母親に送った手紙よ。たまたま見つけたの』