かわいい戦争
たぶんわたしの顔があまりに強張ってたせい。
そこで無理やり。
その後の話なんか聞きたくなかった。
『恋をすると人はバカになると言うけれど、本当にその通りだわ。たった一度会っただけの男にそこまで盲目的になれるなんてよっぽどよ』
軽蔑。憎悪。厭忌。
彼女から溢れ出る感情はどこまでも黒くて。
息が詰まる。
『キャバクラとはいえそれなりの地位に上り詰めたっていうのに、一部の人にその一件がバレて地位陥落。ついでに子どももできちゃって、もう大変だったらしいわ』
他人ごとみたい……。
ついでって……その子どもは須夜崎さんのことなんじゃないの?
『最低最悪な罪でできた子なのに、あいつは周りの反対を押し切って産んだわ。だけどきちんと育てた例がない』
『え……』
『お金だけ払って、あとはベビーシッター頼り。あたしを見る度にあいつは目を逸らして、関わろうとしない。あたしが邪魔なら産まなければよかったのに、なんであたしを産んだのかしら。ほんと、バカな人よね』
同意を求められても、わたしには何も答えられないよ。