かわいい戦争


平然とした態度で、無機質な口調で

どうして話せるの?


わたしでさえ苦しいのに。


須夜崎さんは苦しくないの?



『あたしだって最初はあいつの気を引こうと頑張ってたわ。だけど、数年前のある日、見つけてしまったのよ。あいつの日記と、送り返されたあなたの父親への手紙を』



足裏から伸びる影が、濃くなる。


夕闇が近づいてきていた。



『日記にはあいつの罪と後悔が記されていた。山ほどあった手紙には、謝罪文がぎっしり綴られていた。ごめんなさい、ごめんなさい、って。……犯してから謝っても遅すぎるわ』



数え切れないくらいの懺悔の手紙と、たった1通の返信。


お父さんはどんな思いで返事を書いて、須夜崎さんの母親はどんな思いで読んだのだろうか。




『あいつのこと、あたしの産まれた経緯、父親の存在……全て知ったらあいつの言動も納得できたわ。あいつにとってあたしは後悔の塊でしかないのよ』


『で、でも、家族なんだし……』


『家族じゃないわ』


『……え?』


『あいつは初めから産むだけ産んで、あたしを見捨てる気だったのよ。あたしのことなんて愛してない。幸せにしたいとも思ってない。どうでもいいのよ。そんなあいつを好きになれると思う?』



< 242 / 356 >

この作品をシェア

pagetop