かわいい戦争
平然とした態度で、無機質な口調で
どうして話せるの?
わたしでさえ苦しいのに。
須夜崎さんは苦しくないの?
『あたしだって最初はあいつの気を引こうと頑張ってたわ。だけど、数年前のある日、見つけてしまったのよ。あいつの日記と、送り返されたあなたの父親への手紙を』
足裏から伸びる影が、濃くなる。
夕闇が近づいてきていた。
『日記にはあいつの罪と後悔が記されていた。山ほどあった手紙には、謝罪文がぎっしり綴られていた。ごめんなさい、ごめんなさい、って。……犯してから謝っても遅すぎるわ』
数え切れないくらいの懺悔の手紙と、たった1通の返信。
お父さんはどんな思いで返事を書いて、須夜崎さんの母親はどんな思いで読んだのだろうか。
『あいつのこと、あたしの産まれた経緯、父親の存在……全て知ったらあいつの言動も納得できたわ。あいつにとってあたしは後悔の塊でしかないのよ』
『で、でも、家族なんだし……』
『家族じゃないわ』
『……え?』
『あいつは初めから産むだけ産んで、あたしを見捨てる気だったのよ。あたしのことなんて愛してない。幸せにしたいとも思ってない。どうでもいいのよ。そんなあいつを好きになれると思う?』