かわいい戦争


わたしはわたしの世界が当たり前で。

彼女はわたしより愛されて、幸せなんだって、憧れていた。


親が子を愛して、子が親を愛する家族の在り方が普通だと、信じて疑わなかった。



ちっぽけな世界で、生きていた。



『見捨てられたあたしが、幸せだとでも思うの?』



……わたし、なんにもわかってなかったんだな。



あのキラキラは

きっと、既製品だった。



『……なわけないじゃない』



ギロリと恨めしく睨まれた。



『その無垢な目が嫌い。期待を裏切られた顔が嫌い。恵まれている生活に全く気づいていない、能天気な笑顔が大っ嫌い!』



苦痛を、やっと、ぶつけられた。


ずっとずっと溜め込んでいたんだろう。

平気そうなフリをして、今までずっと。




『ただ母親が違うだけで、どうして不幸にならなくちゃいけないの?』


『須夜崎さ……』


『あたしのほうがかわいいのに、努力してるのに……どうしてあなたばかり幸せなの!?』


『っ、』


『どうして!あたしは独りなのに、どうしてよ……!』




苦しそうに叫び散らした彼女の表情は、醜く歪んでいる。


だけど、やっぱり、ひどく美しい。


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