かわいい戦争
『家族も友達も居場所も幸せも、全部持ってるくせに。秘密を知らずにのうのうと生きてきたくせに!』
そっか。学校でたまに目が合ってたのは、勘違いじゃなかったんだ。
わたしが彼女を羨んでいたように、彼女もわたしを羨んでいた。
幸せそうでいいな、って。
『……全部持ってるなら、ひとつくらい譲ってよ』
だんだんと勢いがしぼんでいく。
ついには力が抜けて、座り込んだ。
『……ねぇ、やめてよ。幸せそうに笑わないでよ……。目障りなのよ』
華奢な肩が震えてる。
尖らせていた眼が潤んでる。
今にも泣き出してしまいそう。
『あたしは幸せじゃないのに、独りなのに……あなたばっかり……っ』
気張っていた強がりがボロボロ砕けて、弱々しい本性があらわになった。
――あぁ、かわいい。
まるで愛不足の拗ねた子どものようで。
まるで愛されたがりなお姫さまのようで。
とても、かわいい。
すぐに姉妹だとは思えないけれど、赤の他人とももう思えない。
そばに、いたい。
そばにいなきゃ。
見放すことなんて、できない。
守りたいとさえ思うこの気持ちは、もしかしたら優しさではなく同情なのかもしれない。
それでも、家族に寄せる想いと似ている気がした。