かわいい戦争
許してあげる。
だから須夜崎さんも許してほしいな。
わたしが無自覚に傷つけていたこと。
『須夜崎さんのものになってもいいって思ったんです』
『……どうして』
『どうしても嫌いになれなかったから。ほっとけないから。……だから、です』
えへへ、とだらしなく頬をほころばせれば、須夜崎さんは半分呆れながら唇を大きく曲げた。
『えへへって、何それ……。お人好しにもほどがあるわ』
『誰でもじゃないですよ?須夜崎さんだからほっとけないんです』
わたしじゃ須夜崎さんを幸せにしてあげられないし、過去を変えるなんてわたしじゃなくてもできない。
だけど“今まで”は無理でも、“これから”の苦しさから守ることはできるかもしれない。
だからわたし、かわいいあなたの味方になりたい。
『……本当に、いいの?』
ゆっくり頷くと、須夜崎さんの頭がたどたどしくわたしの胸まで下がってきた。
軽く額が当たる。
鼻をすする音がうっすら聞こえた。
もう独りじゃないよ。
頭を撫でたら、わたしの背中に腕を回された。
きゅっと掴んだ部分にシワが寄る。
須夜崎さんが顔を上げたとき、目にはじんわり赤みを帯びて、わたしの制服には涙の痕が残っていた。