かわいい戦争


許してあげる。


だから須夜崎さんも許してほしいな。

わたしが無自覚に傷つけていたこと。



『須夜崎さんのものになってもいいって思ったんです』


『……どうして』


『どうしても嫌いになれなかったから。ほっとけないから。……だから、です』



えへへ、とだらしなく頬をほころばせれば、須夜崎さんは半分呆れながら唇を大きく曲げた。



『えへへって、何それ……。お人好しにもほどがあるわ』


『誰でもじゃないですよ?須夜崎さんだからほっとけないんです』



わたしじゃ須夜崎さんを幸せにしてあげられないし、過去を変えるなんてわたしじゃなくてもできない。


だけど“今まで”は無理でも、“これから”の苦しさから守ることはできるかもしれない。



だからわたし、かわいいあなたの味方になりたい。



『……本当に、いいの?』



ゆっくり頷くと、須夜崎さんの頭がたどたどしくわたしの胸まで下がってきた。


軽く額が当たる。

鼻をすする音がうっすら聞こえた。



もう独りじゃないよ。



頭を撫でたら、わたしの背中に腕を回された。


きゅっと掴んだ部分にシワが寄る。



須夜崎さんが顔を上げたとき、目にはじんわり赤みを帯びて、わたしの制服には涙の痕が残っていた。


< 246 / 356 >

この作品をシェア

pagetop