かわいい戦争
その日はお父さんの顔をまともに見れなかった。
秘密を知っちゃったよ。
わたしは大丈夫。変わらないよ。
本音を笑って言えたのに、しなかった。
できなかった。
秘密がなくなり本物の幸せを築けたら、また須夜崎さんを苦しませてしまうんじゃないかと臆して。
わたしはわたしだけじゃなく、皆が幸せになってほしい。
綺麗ごとだと悟っていても、願わずにはいられなかった。
翌朝。
登校の途中、あの物寂しい公園前。
須夜崎さんの姿があった。
『おはよう、須夜崎さん』
朝、こうして須夜崎さんと会うのは初めて。
珍しいことが続くものだ。
誰か待ってるのかな。あ、告白とか?
『……お、おはよ』
須夜崎さんはわたしに気づくや否や、大げさなくらいびっくりして視線を右往左往泳がせる。
どうしたんだろう。やっぱ告白?ならわたしはいないほうがいいよね。
『じゃあ学校で……』
『ま、待ちなさい!』
『……はい?』
え、引き留められたんですが。
朝一に告白される予定なんじゃ……?
『こ、これ!』
唖然とするわたしに差し出されたのは、背中に隠し持っていた小さな紙袋。