夏に消えた彼女
「────!───パ!───パパ!」
呼ばれた声にハッと目を開ければ、目の前にいるのは二人の我が子達。
頬や身体には汗が伝っていて、外からは蝉の鳴き声。
クーラーはつけずに扇風機、窓を開けているから蚊取り線香をつけている。
「夢……?」と呟いて身体を起こすと、我が子達が顔を覗き込んでくる。
「パパ、海に行こうよー!暑いー!」
「せっかくお祖母ちゃんの家に来たんだから海に連れてってよー!」
普段は海とは程遠い所で生活しているからか、僕の実家に来ると我が子達は海に行きたいとせがむ。
「仕方ないな……」、暑いのが苦手な僕だけど我が子達にせがまれると連れていってしまう。
台所で母に料理を教えてもらっている妻に我が子達を連れて海に行ってくると伝えて、海へ向かう。
「パパー!早くー!」
海に駆けていく我が子達を追いかけて、白い砂浜を歩く。
此処へ来るとどうしても思い出してしまう。
彼女と会っていたあの夏を。