はちみつの景色
―――――俺たち、友達にならない?
花山くん?何言ってるの?
そもそも友達ってなろう?って言ってなるものでもないし、花山くんの周りにはいつもたくさんの人…
今更、私と約束をして友達になるなんて、よくわからない!
「急でごめん、そのヘアピンはあげる。昨日、鏡で合わせてたの似合ってたから。
で、その、お礼。」
「お礼言われることなんてしてないよ!」
「今日、バイト先聞かれてた時、黙っててくれてありがとう」
ああ、あの時の…
「実は…あんまり女子が得意じゃなくて。」
え?なんだって?
「え、でも話しかけられてるし、普通に返事もして…」
「うん、だから相槌と生ぬるい返事だけはどんどん上手になってる、と思う」
「中川さんはなんか、いいな、って思ったから」
「へ…」
今話してるのが、あの花山千景とはどうも納得できない部分もあるけど、思い返せば来る人来る人にあんなに話しかけられてるのに、花山くんであんなに盛り上がってるのに、花山くん自身はあんまり会話に参加していないようにも見えた。
「…ヘアピンありがとう…明日からつけるよ。
友達も…喜んで。」
「ありがとう、中川さん」