学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
そういえば、「もう迷惑はかけないようにするよ」って言ってたっけ。
「嫌われることはしない」とも言っていた気がする。
あれ?
今 気づいたけど……その言葉のあとから今までずっと、マルに「みぃ」って呼ばれてないような……?
……まぁ、それならそれでいいか。
面倒事は出来るだけ避けたいから、むしろホッとした。
なんて考えていた時に、ふとマルと目が合う。
だけどすぐ、マルは私から視線を外して再び外を見始めた。
……どうやらマルはマルで、他人のフリをしてくれているらしい。
まぁ…元々他人だけどね。
でも、その心遣いがありがたい。
行きはとにかく大変だったけど、今はまったく苦労していない。
周りにはたくさんの人が居るけれど、私は一人の時間を堪能することが出来ていた。
──……その後、電車はトラブルなく進み続け、私たちは無事に降りる駅へと到着した。
構内を歩いてる時も、改札を抜ける時も、駅の外に出てからも私たちは関係者と悟られないよう距離を開けながら歩く。
マルが私に喋りかけてきたのは、人通りの少ない道に入ってからだった。