罪作りな彼は求愛方法を間違えている
お店を出ると、黒塗りの高級車が止まっていて、運転席から、男性が出てきて後部座席のドアを開けた。
私の体を荷物のように、後部座席の奥に放り込んだ彼は、私が体を起こしている間にすぐに乗ってきていた。
そして、私が身動きできないよう、彼の膝の上にというか、膝の間でお尻を挟まれ動けなくする。
「やだ…おろして」
「うるさい。大人しくしていろ」
運転手が席に着くと、バックミラーでチラッとこちらを見た。
「マンションまで…いや、待て。千花、お前の住所は?」
しばらく口を閉ざしていたが、高橋さんの威圧的な視線にぼそっと呟いてしまう。
聞こえたらしい運転手は、ナビを検索したのち車を走らせていく。
その間の後部座席の2人はというと、彼に無理矢理に唇を奪われ足掻く女、それでもキスを深めて抵抗する力を奪おうとする男との闘いだった。
勝敗は車が止まる頃ついた。
後部座席のドアが開き、降りてきた男の腕に抱かれた女は、頬を高揚させ、とろみきった目をしている姿に、運転手はゴクっと喉を鳴らした。
その瞬間、雇い主である男から絶対零度の突き刺さる視線を受け、咄嗟に目を伏せたのだった。
「今日は、このまま帰っていい。明日は俺のマンションまで頼む」