罪作りな彼は求愛方法を間違えている

なぜか苦笑した彼は私の方まで歩いてきて、自分自身を指差していた手を掴んでつなぎ直したのだ。

なぜ、そうなるのか分からない。

ただ、私にわかる事は顔が真っ赤になっている事だけで、この現状に戸惑い、俯いて顔を隠すことしか思いつかなかった。

周囲の女性達からの叫声が聞こえてきても、彼は気にする様子もなく、繋いだ手と反対の手で俯いた顎をクイっと持ち上げ視線を合わせて弧を描いて笑う。

「ふっ、真っ赤だな」

「うるさい…手を離してよ」

思考が回らず、言い返すのが精一杯の私に、彼は繋いだ手をぎゅっと握ってきて、ボソッと呟いた。

えっ⁈

聞こえるか聞こえない声だったが、確かに『いやだ』と聞こえた。

「ほら、来いよ」

繋いだ手に引かれてついて歩き、いつも座る椅子を彼は少し引いて座面をポンポンと叩いて座るように促し、私が座るのを待っている。

座った後も、手は繋がれたままで、目の前にいるコウ兄に助けを求め視線を送るが、ただ苦笑していつものようにビールを出して、他のお客の所へ行ってしまった。

薄情もの…

今だに繋がれた手に、どうしていいのかわからない私の鼓動は、急激に早く脈うち、隣の彼にも聴こえているのではと思うぐらい大きな音をたてている。
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