罪作りな彼は求愛方法を間違えている
ドキドキする気持ちを隠して、
「重い」
「うん」
返事を返しながら、私の首元に顔を擦り付けている高橋さんに、なんだか絆されて彼の頭を撫でていた。
「どうしたの?」
「お前といると調子が狂う」
小さな声だったがはっきりと聞こえた。
「なら、帰れば…もう、【S】ストーリーにも行かないし、会わない」
言うなり、ぎゅっと腰を抱く腕に力を入れて首元から肌越しに話しだした。
「帰らない…キスに夢中になって我を忘れかけた」
いやいや…それはこっちのセリフですけど!
はぁーと吐く甘いため息に肌をくすぐられ、ぞくっと肌が粟立ってしまう。
「あー、クソ…お前に翻弄されて困る」
クルッと体を半回転させられて、またまた高橋さんと見つめ合い、彼の色っぽい眼差しにドキドキが加速しだす。
「千花」
「な、なに?」
ピー、ピーと、レンジの鳴る音とエイヒレの匂いがほんのり空気中に漏れ出しているが、気にもならない私達。
熱くなる頬を撫でる高橋さんの手のひらに、生唾を飲んで次の言葉を待っていた。
だが、ただ一匹だけ匂いに敏感に反応した猫が、レンジ前で飛び跳ねている気配に、彼の背後が気になりだす私。
ミャーミャーとうるさく鳴くそらくんに、甘いムードもどこかへ。