罪作りな彼は求愛方法を間違えている

「……あー、クソ。そら、約束守って大人しくしてろよ。邪魔しやがって」

文句を言いながらレンジを開ければ、エイヒレのいい匂いが部屋の中に広がると、空気中のいい匂いにそらくんはペロペロと舌を出して空気を食べ出した様子に、高橋さんは笑う。

「美味いか?」

夢中のそらくんには、彼の声は聞こえていないらしく、高橋さんの手にあるエイヒレに気がついていない。

「こいつ食べるのか?」

「うーん、元々野良だったからなんでも食べるんだろうけど、お腹壊したら可愛そうだしあげない方がいいかな」

高橋さんからエイヒレを受け取り、お皿に盛っている間に、彼はそらくんを両手で持ち上げていた。

「んッ、お前野良だったのか⁈千花に拾われてよかったな。だが、俺はお前のせいで千花との少ない時間を削られているんだよ。元野良なら、空気読んで大人しく寝てろ。せっかくいい雰囲気だったっていうのに、ぶち壊しやがって…今度こそ邪魔するなよ、わかったな⁈」

本当になにを言ってるんだろう?

彼の話を聞いていると、まるで彼に口説かれている気がして、胸の奥がざわついて落ち着かない。

そんな私の心のうちに気がつかない男は、そらくんを持ち上げてテーブルまで戻って行くので、私は、残りの惣菜をレンチンする。
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