罪作りな彼は求愛方法を間違えている
磨りガラスのハマったドアの向こうからガチャガチャと耳障りな音がして、彼の意識がそちらに向いてしまったらしい。
「チッ、そらのやつ、…フン、入って来れないだろう」
忌々しく言い捨てたと思ったら、今度は勝ち誇ったようにドアに向かって言うと、ドンと大きな音の後、ミャーと泣く可愛らしい声がした。
「そ、そらくん」
「お前は俺に集中…」
「でも…惣菜とかテーブルの上に残してきたままなんだけど…んっっ」
まだ、決意できずに悪あがきをした私を黙らせるようなキスが再び再開され、私の思考も抵抗も奪い去った彼を受け入れてしまった。
そして、私達は裸でベッドで動く事も出来きず、2人して乱れた呼吸を整えていたのだが、先に復活したのは彼の方だった。
上半身を起こし、床に落としたボクサーパンツを見つけると立ち上がり、背を向けて履いた後、飲み物を取ってくると言いドアを開け出て行った。
1人になり、火照った体が徐々に冷えていくと、頭は冷静になってくる。
「アーァ、やっちゃったよ」
後悔ではないのだが、曖昧なまま抱かれてしまった事を悔やんでいたらリビングで大きな声がした。
何事かと動こうとしてもまだ動く事も出来ない私の側にそらくんがいつも間にか来ていて、必死にベッドに上がろうとしている。