罪作りな彼は求愛方法を間違えている
「そらくん、どうしたの?」
身軽なはずなのに?と首を傾げていると、高橋さんがドアの先まで歩いて来る気配に、そらくんは慌てて駆け上ってきて、私の枕元で警戒態勢に入る。
「買ってきたやつ、そらに全部やられていたから片付けておいた……」
と言い入って来て、そらくんを見つけて近寄ると、お腹を気遣うように見ていた。
「そらー、千花のとこに逃げ込んでいたのか。…お前お腹大丈夫か?」
私もぽんぽんに膨らんでいるそらくんのお腹を撫でて、「大丈夫?」と声をかけると大丈夫と言うように私の顔をペロリと舐めてくる。
「全く、千花にべったりだな」
どさっとベッドに腰掛けて、ペットボトルの蓋を開け、コクコクと口の中に。
そして、斜めに屈み私の唇に触れるとすぐに、唇をこじ開け水を流し込んできて、突然の事に全部を飲み込めなく口の端から水が溢れ出した。
その水をペロペロと舐めたのはそらくんで、まるで2人と一匹でキスをしているみたいで、色っぽい雰囲気になりもしない。
邪魔だというように、手のひらでそらくんの顔を遠退け追い払おうとする高橋さんの背に飛び乗ったそらくんは、彼の後頭部に前足で叩くように攻撃しだした。
「…ッ、痛いだろ。やめろ、そら」