罪作りな彼は求愛方法を間違えている

それでも、攻撃の手を緩めないそらくんに苛立ち、背に手を伸ばしそらくんの後ろ首をむにゅっと掴み引き剥がした。

空中で首根っこを掴まれても、暴れるそらくんに高橋さんは大きなため息を突き、床に下ろして無視を決め込む事にしたらしい。

私をベッドから起こすと、何も言わずに横抱きし、ヨイショと立ち上がるので、恥ずかしい部分が丸見えで、思わず彼の胸に体をできる限りくっつけしがみついた。

「や…下ろして」

「まだ歩けないだろ」

そうなんだけど…どこ行くのよ。

「一緒に風呂入ろーぜ」

「狭いから、1人で入ってきてよ」

私の声を無視して、浴室にたどり着くと壁に手をつかせ床に私を立たせた後、シャワーのコックを捻り温かいお湯を出して私の体の汗を流し、自分にもシャワーをかけ汗を流した。

「体洗ってやろうか?」

真っ赤になって羞恥に耐えている私の反応を楽しげにニヤニヤとして、こちらの出方を待っている。

まだ、プルプルと膝が震えるが1人で立てないことはない。

「けっこうです」

キッと彼を睨んでから、スポンジにボディーソープを乗せ、彼に背を向けて体を洗っていると背後から手が伸びてきて、スポンジをとり上げて自分の体を洗い出す気配に小言が出る。
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