罪作りな彼は求愛方法を間違えている

少しずつ溜まっていくお湯を掬い、私の肩にかけてくれる優しさに、愛されてる気がするが、臆病な私は、背を丸めただ黙っているしかできない。

そんな私の体を抱きしめた腕と、肩に乗る彼の顎。

「重い」

「……」

「重いってば!」

「妹みたいに思ってたのにな…」

わかってるわよと心で毒吐き傷ついている私。

「なら、抱かなきゃよかったのに」

可愛くない事を言ってしまう。

「フッ、そうだよな」

彼の言葉が、私の心に傷を増やしていく。

後悔してるんだ…

どうしよう?

もう、前の関係にも戻れなくなり、これで関係が終わってしまうのかと不安になると、涙が溢れてくる。

彼に気がつかれないようにと涙を我慢するけど、止まらずに頬を伝っていく。

「なに泣いてるんだよ?」

「泣いてない」

「…たく、可愛くねーの」

そう言うや否、彼によってそのまま背後に倒されて、彼の胸に寄りかかっていた。

そして、顔を掴まれ上向きにされて、顔を横に向けさせられるとキスされていた。今の会話でどうしてキスされるのかがわからないでいる。

「嫌だって言っても、もうお前を離してやれそうにない。そら以外の男近寄らせるなよ」
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