ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
レオンに促され診療所内の長椅子に座り、声がかかるのを待つ。

酷く長く感じるその時を耐えられたのは、レオンが隣に居るからだった。

もしひとりだったら私はもっと取り乱してしまっていただろう。

どれくらいの時間が経ったのか、治療室の中の先生から声がかかった。

レオンと共に急ぎ入室する。

リラは先ほどと変わらずベッドに横たわっている。目は閉じたままで起きる気配は無さそうだ。

いつも血色の良い頬が今は蝋のように真っ白になっていた。

痛ましさに顔をしかめていると、レオンが先生に向かって言った。

「先生、診療結果を聞かせて頂けますか?」

その声につられて私も先生に視線を移す。先生は珍しく困った表情を浮かべていた。

「額に出ていた斑点は虫に刺されたようなものではなく、身体の中から出来たものだ。しかしここでは詳しい検査が出来ない。紹介状を書くので大きな病院に行きなさい」

「やはり原因が分からないんですか?」

「ああ、力が足りず申し訳ない」

無念そうに頭を下げる先生に、私は慌てて被りを振った。

「い、いえ、先生のせいではありません」

「斑点は薄くなってきているので一時的なものかもしれない。だがリラちゃんは発熱を繰り返しているし、ここまで酷くないにしても湿疹が出ることもあった。仕事を休むのが難しいのは分るがリラちゃんの身体の為を考えるとなるべく早く検査をした方がいい」

「はい」

転院しての検査は以前も進められたことがあった。

でもこの検査が出来る程の大きな病院となると、このティオール王国では王都の病院に限られている。

村から王都までは馬車で片道三日はかかるし、治療も含めたら当分村には帰って来られないだろう。

仕事のことや旅費や治療費などのことを考えると、転院は難しくなかなか決断出来ずにいた。

だけどもう迷っている猶予はない。先の生活の不安より、今はリラの身体を治さなくては。

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