ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
誰だろう。今日は来客の予定はないはずだけれど。扉を開けると、扉の外には思いがけずにセルジュが居た。

「セルジュ? どうしたんですか?」

「急ぎの依頼が入ったから打合せをしたくて来たんだ」

良く見ると彼は両手には大きな紙袋を下げている。

「それは?」

「領主のお嬢様から正式にショールの注文が入ったんだ。早く使いたいからなるべく急いで作って欲しいとのことだった。生地と糸は揃えてあるから他に必要な物が有れば言ってくれ」

セルジュは嬉しそうに言い、私に紙袋を差し出した。

在宅になってからは、注文の品に必要な材料をこうして持って来て貰っていた。今日の依頼は

袋の大きさから察するにかなり大量みたいだ。

いつもは仕事を回して貰えることに喜んでいたのだけれど、今日に限っては困ってしまった。

その気持ちが顔に出てしまったのか、セルジュが首を傾げた。

「どうかしたのか?」

「あの……実は今朝リラの具合が悪くてターナー先生のところに行ったんです」

「え? 大丈夫なのか?」

セルジュが心配そうに眉を下げる。

「はい、今のところは。ただ原因がはっきりしないので一度大きな病院で見て貰った方がいいと言われ紹介状も頂いたので、直ぐに行ってみたいと思ってるんです。急な話で申し訳ないんですけど」

「謝らなくていいよ。リラちゃんの身体が一番大事なのは当然なんだから」

彼は相変わらず優しい。その分私は申し訳なさで苦しくなった。

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