お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
会場に響き渡る冷たい声。
誰もが、ごくり、と息を呑む。
すると、責められるコックらを見た令嬢達が、すっ、と前に躍り出て高らかに叫んだ。
『まぁ、ひどい…!自分の企みが上手くいかなかったからといって城の方々をお叱りになるなんて、なんて性格が悪いのかしら…!』
『その通りよ…!ここにある料理も紅茶も、とっても美味しい一流品。やはり、サーシャさんは味が分からない庶民のようね。しかも、わざわざ特注のケーキを作ってくれたコックを叱りつけるなんて…城の臣下も大切に出来ない方が将来の姫様だと思うと、悲しいですわ…!』
しぃん…!
静まり返る会場。
誰もが、サーシャの終わりを想像しただろう。
「…ふっ。」
しかし、私の隣に立つ執事だけは、その言葉を待っていたかのように、わずかに口角を上げていた。
そして、彼の気配を察した私は、ついに反撃の一手を繰り出したのだ。
「あら…?何を勘違いされているのかしら?」
『え…?』
「私が言っているのはケーキのことではなく、この“紅茶”ですわ。」
『…?!』