お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。

睨みを飛ばしたアレンに、「口説いてないって!」と笑う彼。

どうやら、二人は知り合いのようだ。


「あの、アレン。この方は?」


「あぁ。彼はダンレッド。私の古い知り合いで、二十五歳の若さで隣国の騎士団長を務める優れたお方です。今は期間限定でヴィクトル王子の護衛をなさっているそうですが。」


すると、こちらに興味を持ったような彼は、薔薇色の瞳を細めて口を開く。


「まぁ、知り合いっていうか、保護者かな。」


「保護者…?」


「うん。アレンがまだヤンチャしてた頃に、通報を受けて捕まえたり、世話を焼いたり……」


その瞬間。目にも留まらぬ速さでダンレッドの横腹を突いたアレン。

声を詰まらせる彼に、アレンは笑顔を浮かべている。


「お嬢様、お気になさらず。聞く価値もない昔話です。」


「ったく、容赦ないなあ。」


横腹を抑えて苦笑するダンレッド。

サーシャの専属執事、ルコットを子犬と例えるなら彼は成犬。オトナの凛々しさと勇ましさを兼ね備えているが、どこか無邪気でわんこっぽい。

誰からも愛されそうな可愛げのある顔立ちだからだろうか。

二十五歳だという彼はだいぶ歳上だが、人気者の近所のお兄ちゃん、という印象を受ける。

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