潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
えっ…?と驚きかけたが、ちょっと待って。
あの時、室内には誰もいなかった筈なのに、どうして彼はその話を知ってるの?
それに、私が彼をOCFの副社長だと知ってる…となぜそう断定してる?
まさか、あの時の声が聞こえた?と思うが、自分の声は小さくて、決して外には漏れてなかった筈だ。
だから、それを彼が知る訳ないと焦り、困惑して顔を見た。
「聞こえてきたんだよな。二課の前でドアノブを握ろうとしたら、興奮気味な女子の声が」
なかなかユニークな発想だった、と新人社員の発言を笑い、でも、それをする程、マザーズはまだ業績が落ち込んでもないだろ…と続ける。
「それに、香純の大事な仕事を取り上げる訳にはいかないよ。君には大事な志があるんだから、それを俺の都合で無くさせてしまうことは出来ない」
気を遣うような言葉を言う尚行さんを見つめて、今はそんな事どうでもいいと考えた。
「……どうして私が、尚行さんが副社長だと知っている…と分かったの?」
まだ何も訊いてないのに…と疑問の声を発すると、彼は困った様な表情で教えてくれた。