潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「昨日、早退前に課長のデスクへ行った時、香純が近い席に座ってんのに、あの人それを考慮もせずに労ってきただろ。だから多分、それが香純の耳に入ったと思ってたし、案の定、さっきカフェで待ち合わせた時、随分暗い顔をしてるようにも見えたから」


入店する前にそれを確認した彼は、ある種の覚悟を決めていた…と肩を落とす。


「香純からは、この間速攻で断られた部屋にも誘われるし、苦手な料理まで作ってくれる。ああこれもう、絶対に俺と別れるつもりなんだろう…と確信して、ヒヤヒヤしながら今まで座ってた」


それで、飲み物を出されてその話をされる前に、自分から副社長だと名乗ってしまおうと考えついた。
そして、身分を知っても距離を置かないで欲しいし、今後も付き合っていきたい…とそう言いたかったそうだ。


「俺が素性を明かしたら、これ以上ないくらいに別れの切り札が揃った様な状態になってしまう。だから、あーあ…と思わず声を上げてしまったけど」


私は、そんな気はまるでなかったから驚きもした。
だけど考えてみれば、そんな風に捉えることも出来るかもしれない。


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