潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
ソファでは香純の両親が寄り添って会話をしており、俺の足音がすると振り返って、「あら、追い出されたの?」と残念そうな言葉を投げかけられた。


「どうだった?香純の手料理は?」


期待通り呆れただろう…という感じで訊ねる父親に苦笑し、「美味そうでしたよ」と返事する。
どんなに味が微妙でも、彼の前でだけは決して「不味い」とは言わないでおこうと決め、料理が完成するのを待ち構えた。



「出来たよ」


声が聞こえて立ち上がると、香純はトレイにサラダとグラスを乗せて来るところだった。

中央にフラワーアレンジメントが飾られたテーブルの上には、既にデミグラスソースのかかったハンバーグとサラダの取り皿とが置かれ、それらを見た香純の母は驚い様に、「あら」と声を上げながら「今年はどこか違うわ」と囁いた。


「えらく張りきって作ったのね」


品数も多い…と目を見張り、彼氏の前だから気合いでも入れた?と茶化しながら椅子を引く。

それに対してぶすっとした表情を浮かべている父親は、無言で椅子を引くとドカッと腰を下ろし、キッチンから戻ってくる香純の様子を窺った。


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