潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「香純……」

「私ね、指輪をあげたってことは、彼がそれだけの女性に出会ったということだと思って、それが妬ましくて、つい羨ましくなっちゃっただけなの。だって、指輪って特別でしょ。先のことを約束する意味でも、現在を示す意味でも」


そう思うから何となく詰まらなく感じて唇を噛んだ。だけど、それを俺に言うのは気が引けてしまい、自分からは話せないと感じて笑ってごまかそうとしたんだ…と言うのだ。


「尚行さんは責任の重い立場にいるから、おいそれと行動には移せないでしょ。私にしても付き合ってるとはなかなか公言しにくい人だし、だから羨ましいなと思ってしまっただけ」


でも、こうして喋ってしまったら一緒ね、と笑い、中に入りましょ…と促してくる。


「お互い仕事を放ってたらいけないよね。さっきの秘書さんも困ってたし、戻らないと仕事が……あっ!」


中へ入ろうと向きを変えた香純の左手を握り、俺は持ち上げると薬指の根元にキスを押し当てた。

確かに、彼女の言うように直ぐに次のステップへ移れるほど軽快な立場にいない俺は、指輪の代わりに何が送れるだろうか…と考えていた。


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