はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「藍果、お風呂入れるわよ」

「はーい。ねえ、お母さんこれ覚えている?」

「なあに?」


ドアを叩く音とほぼ同時に顔を出した母は、私に手招きされて中に入ってくる。

開いていたアルバムに顔を近付けて、「あらー」と高い声を出して、目を細めた。


「懐かしいじゃないの。この頃の藍果は他の子から比べて大人っぽく見えたけど、今見ると幼いわね」

「あー、言われてみるとそうだね。じゃなくて、この写真の人、覚えている?」

「もちろんよ。だって、藍果がホテルで働くことを希望するきっかけになった人だもの。何がきっかけになるか分からないものよねー」


母は感慨深そうにうんうんと頷く。

この写真を見ながら、こんなふうに人に優しく出来る人になりたい、誰かに喜んでもらえる仕事がしたいと思った。

それで、今まで考えたことのなかったホテル業界のことを調べた。なんの勉強に力を入れたらいいのかとも調べた。

英語と地理という結論に至り、特に英語を頑張った。
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