はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
玲司さんの両親への挨拶はそれから1か月後となった。お盆期間が終わったあとのある平日に私は初めて、玲司さんの実家に行く予定となる。

その前日、彩音と昼休みにカフェでランチプレートを食べながら話をした。

「藍果は明日代休だっけ? どこか行くの?」

「うん、支配人の家にね」

「あ、もしかして例の挨拶が明日?」

「そう。気が重い……」

「気持ちは分かるけど、支配人なら大丈夫でしょ。絶対守ってくれるから、がんばって」


彩音から激励されて、頷いたけど、気が重いのは変わらない。この日の夜はなかなか眠れなかった。寝不足のひどい顔では訪問できないというのに。

社長とも玲司さんのお母さんとも顔を合わせたことはあるが、不安しかなく緊張は彼の家の前でピークに達した。

白地に黄色のベースにした花柄の膝丈ワンピースを着用してきたが、胸の辺りを手で押さえる。


「あの、玲司さん。私の服装、おかしくないですか?」

「ん? 迎えに行ったときも聞かれたよね? 全然おかしくないし、藍果らしく清楚でかわいいよ。俺も緊張しているけど、大丈夫。絶対に認めてもらうから」
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