はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
絶対に認めてもらうと言いながらも玲司さんも緊張するくらい不安はあるようだ。やはりここでもふたりで力を合わせなければならない。

玲司さんだけのことではなく、私たちふたりのことだから。


「私、がんばります」

「うん、俺も」


玲司さんの家は想像と違って、純和風な家だった。庭も和風で池まであった。木の重厚な門から玄関までのアプローチは石畳になっていて、パンプスでも歩きやすかったが、私は転ばないよう慎重に歩いた。

実家にはお手伝いさんがいて、紺色の着物に白のエプロンを身に付けた40代の女性が出迎えくれて、居間まで案内してくれた。

ピカピカに磨かれた廊下こそ転びそうな気がしてここでも慎重に歩いた。

「やあ、いらっしゃい」と社長はにこやかに出迎えてくれたが、隣に座るお母さんはなにも言わず、私を上から下まで見ていた。

私の母にも玲司さんにも大丈夫だと言われたワンピースだったが、失敗だったのかもと不安になる。

玲司さんのマンションと同じくらいの広さの居間は、あとから改築したのか洋風になっていた。


「こんにちは。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
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