はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
今の話のどこが面倒なのか全く分からなかった。私は玲司さんを好きだけど、尊敬もしているから、いつもためになるなと聞いている。


「デート中に仕事の話する男なんて、イヤだろ?」

「ううん、イヤではないです。私、どんな玲司さんでも好きだから、玲司さんの話はどんな話でも聞きたいです」

「藍果、さらりとすごいこと言うね」

「えっ、すごいこと? 何を言いました?」

「好きって言ってくれて、ありがとう」


玲司さんの言葉に私は一気に顔を赤くした。自分の言ったことを思い返したら、確かに好きだと言っている。

玲司さんにこんなところでと言ったのに、私こそこんなところでだ。周りの人は誰も聞いていないかもしれないが、本人を前にして恥ずかしすぎる。

しかし、恥ずかしいことはこれで終わらなかった。

食事を終えて、マンションに戻り、背後から私を抱き締めた玲司さんは忘れていなかったことを言う。


「濃厚なキスして」

「無理です。恥ずかしくて出来ません」

「大丈夫。ここは俺たちしかいないから、誰も見ていない」


そういうことを言っているのではない。玲司さんは諦めず「早くして」と急かした。
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