はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「やっぱり俺のことだった? うちに来る小さい子供からはよくおじさんと呼ばれるけど、横川さんくらいの年齢の人から言われるとちょっとショックだな。でも、気にしなくていいから」

「いえ、本当はおじさんだなんて思っていなくて」

「いいよ、フォローしてくれなくても大丈夫だから」

「いえ! 本当はかっこいいと思っています!」


支配人は私の言葉に一瞬驚いた表情を見せたが、すぐ笑った。


「ありがとう。若い子に言われると嬉しいね。って、こういう発言がおじさんっぽいんだよね?」

「そうですよ。自分で言ってはダメです。あ、いえ、そうではなくて、本当に私はおじさんなんて思っていなくて……」

「だから、そう何度も言われると逆にそう思うから」

「あー、そうですよね。重ね重ね、すみません。もう言いません」


謝る私に支配人は「もう言わないで」と笑うから、つられて私も笑った。注意されるのかと思ったけど、思いのほか和やかな雰囲気になって、安堵した。

だけど、自分だけがここに残された理由は支配人がおじさんかどうかという話ではないはず。
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