はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「光栄とまで言わなくても。そんなに気遣ってくれなくてもいいけど、じゃあ木曜日の夜に話をしよう。あとで時間は伝えるね」

「はい」


結局数分引き止めてしまったから、支配人は歩幅を大きくして歩いて行った。本当は走りたいのかもしれないが、緊急事態以外は走ってはいけないからそのルールを守っているのだろう。

急いでいるのに引き止めてしまって、申し訳ない気持ちで私は彼の後ろ姿に頭を下げた。

申し訳ないと思いつつも食事する約束をもらえたのが嬉しく、私の頬は緩んだ。

緩んだ頬に手を当てながら、原田さんのところに行くと、もう報告書は書き終えていた。


「ごめんなさい。怒られちゃった? まさかぶたれた?」

「えっ? いえいえ、怒られませんでしたよ。それよりも報告書書いていただき、ありがとうございます」

「そうからよかったけど。明日は横川さんが書いてくださいね。では、チーフのところに行きましょう」


報告書を持つ原田さんに並んで、水谷チーフのもとへ行った。
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