はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
だから、今初めて知ったのだろうけど……彩音が大丈夫かと心配になる。会いたくない人なのか、なにかトラウマがある人なのか……。


「仲村さんが固まっているけど、片瀬くん嫌われているんじゃないの?」

「えっ? そんな覚えはないけど……おーい、仲村さーん」


神林さんも私と同じことを感じたようだった。彩音の様子は再会を喜ぶというよりも怯えているように見える。

片瀬さんは、彩音の顔の前で手を振った。


「湊人さん……」

「お、反応してくれた。久しぶりだね」

「はい……」


にこやかに話す湊人さんに対して、彩音の表情は固いし、返事は素っ気ない。


「悪いけど、積もる話はあとにしてね。これからふたりには業務の説明しなくちゃならないから」

「あ、そうですよね! 仲村さん、またあとでね」


片瀬さんは私にも軽く会釈して、自分のデスクへ戻っていく。かっこよくて、人当たりの良さそうな感じではあるけど、どんな人か読めない。

神林さんの後ろについて、私たちは廊下へ出てミーティングルームヘ向かう途中、まだ神妙な面持ちの彩音にそっと聞く。
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