はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「彩音、大丈夫?」

「藍果、奇跡。奇跡が起きた……」

「は? 奇跡?」


奇跡、偶然、ペンション、バイト……あ! 単語を繋げたら、ひとつの答えにたどり着く。


「もしかして、会いたいと願っていた人?」

「うん」

「なによ、それなら嬉しそうな顔をしてよ」

「だって、信じられない」


喜んでいる顔には見えなかったが、内心喜んでいたようだった。彩音しては分かりにくい反応だったが、それだけ信じられない思い。

会いたいと願っていた人が同じ職場でしかも同じ部署。この偶然は奇跡であって運命だ。

ふたりはきっと再び巡り会える運命だったに違いない。好きだった人にもう一度会えたなら、また好きになる。そこからまたふたりの恋が始まる。

他人事ではあるけどワクワクしてくるし、羨ましくなる。私も恋したい。

で、ほわっと脳裏に支配人の顔が浮かび上がってきた。私を見つめて、近付いてきたあの顔。


「ごめんね、ちょっと持ってくるの忘れたファイルがあるから待っていてくれる?」

「はい、分かりました」
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