はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「うん、なっていない。私は上京するまでずっと再会を強く願っていたけど、湊人さんの願いはあの時だけだったんだよね」

「あの時だけ?」

「うん。湊人さん、今付き合っている人がいるんだって。私は付き合っている人はいないし、ずっと会えることを夢見てたと話したら、ごめんって謝られちゃった」


彩音の話は昨日の彩音の気持ちが全部入っていた。だから、片瀬さんが内緒の答えを教えてくれた時は喜んだけど、彼女がいると聞いて落ち込んだ。

彩音の悲しそうな表情に「そう……」としか返せなかった。ワクワクして聞いていた気持ちが一気にしぼむが、私よりも落ち込んでいるのは彩音だ。

朝見たときはスッキリした表情をしていたから、うまくいったのかもと思っていたけれど。

ふたりは約束していたわけじゃないから、彼女がいるという片瀬さんを責められない。

だけど、ひどい人だと思ってしまう。


「やだ、藍果が悲しそうな顔しないでよ。残念だったけど、縁がなかったんだよ。で、湊人さん以外にもいい男はいると新しい恋をしたいと思っている」


彩音がスッキリした顔をしていたのは、ちゃんとひとつの恋にけじめがつけれたからだ。
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