あかいろのしずく
と、一人で頭を抱えている私の方に、「だけど」とアズマは顔を向けた。



「少し違う。電話もそうだったけど、ちゃんとした根拠がある」



え、そうなの?

てっきり電話だけだと思っていた私は、さらに「二つあるんだ」というアズマの言葉を聞いてキョトンとした。



「まず車の音。あれは物資を置いていったあとだ。走る音がした。急いでたんだろうな、走って家を出て、すぐに車に乗ってどこかに行った」

「気づかなかった......」



私とサユリさんが声を合わせて言った。
< 225 / 754 >

この作品をシェア

pagetop