あかいろのしずく
目の前にショウトの顔があった。


橙色の明かりが私達を真上から照らす。
風の音が静かに、窓の外を通り過ぎた気がした。



「信じてほしいんですよ、要するに。協力するためには、ちょっとでも信じてほしかった。あの時知らせてくれてたら、オレ達だって何かしらできたかもしれない」



その言葉に、心が揺れる。


私は何をしていたんだろう。私の自分勝手な行動が、アズマを巻き込み、こうも二人を傷つけていたんだ。いや、二人だけじゃない、ここに残してしまった、サキも。


もしかしたら、あの時二人を信じていれば、今頃ここにいなかったかもしれなかったのに。
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