あかいろのしずく
先生は本から目を逸らさずに、「はい」と頷いた。それから「時間を潰せるので」と、付け加えた。
その物言いに引っかかり、私はなるべく、丁寧に尋ねる。
「なにを、待っているんですか?」
「君たちが本当のことを話してくれること」
......ブレないんだな。
「四日後のことは決まりましたか? ショウトくん、責任を負いたくないようでしたよ」
「一応決まりました。けど、まだ本人も迷っているので、当日聞いてみたらいいかと」
「そうですか。それはご親切にどうも」
よし。上手く誤魔化せた。
これで強制的に出される日にちを早められることはないだろう。