あかいろのしずく
「大丈夫ですか?」
手に持っていたペットボトルを渡して、そう聞いてきたショウト。一体何が大丈夫なのか。そもそも、
「どうしてここにいるのか分からない」
私が言うと、ショウトは「先生です」と言った。パニックになることはなかったが、背中を悪寒が走った。先生。もう、聞きたくなかった。
ショウトは続ける。
「先生に運ぶように言われました。ナナカ先輩のことを伝えたら、部屋を使ってもいいって言われたので」
「え? 先生が運んでくれたんじゃなくて?」
「......。まあ、そうですけど」
てっきり先生に何かされたんじゃないかって思っていた。
と、ショウトの顔を見てなんとなく察した私。
「ショウトくんが運んでくれたの?」
「......」
顔、赤くなってる。