あかいろのしずく

「ごめんごめん、ありがとうね!」

「......はい」




それから事情を聞いて分かったのは、私が熱を出していたこと。



......なんだかなあ。明後日が脱出だって言うのに、体調を崩してしまうなんて。




ショウトが運んでくれて、先生も時々様子を見に来ているんだとか。
時計はもう三時を回っていた。起きた時間が遅かったとはいえ、かなりベッドの上で過ごしてしまったよう。


けど、先生は本当に何もしないんだな、って。

アズマの話を聞いて怖かったけど、このことといい、やっぱりそんなに悪いことはしないんじゃないかって思う。




ショウトは私が心配らしく、まだ寝ていた方がいいと言ってくれた。
私は大丈夫だと返した。そしたらショウトは、




「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」




そう言って、私を真っ直ぐ見つめる。
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