あかいろのしずく





その後、部屋に入ってきた先生に様子を聞かれ、大部屋に戻るかどうかという話になった。


私はもちろん大部屋に戻ろうと思っていたけれど、話の途中で部屋にある人物が入ってきたのである。



「アズマくん?」



アズマはドアを開けたかと思うと、スタスタとこちらに歩いてきた。そして私と先生の間に入ると、いきなりこんなことを言う。



「出て行ってくれ」




なんだなんだ。
いきなり私と二人きりになるってか。

アズマの言葉にドキッとしながら先生が去るのを待つ私。
しかし、先生は動かない。もしかして、先生は私を渡さないつもり?

これっていわゆる「取り合い」というやつか!



そうやって目を輝かせていたが、次に聞こえてきたため息と、アズマが放った言葉に私はぎょっとする。




「こいつじゃなくてお前だ、ナナカ」




は!? 私!?
< 410 / 754 >

この作品をシェア

pagetop