あかいろのしずく

そして着ていたジャケットの内側のポケットから、黒いものを取り出して。


瞬間、廊下の突き当りにある窓に向かって発砲。


ガラスには一瞬でクモの巣のような形にヒビが入り、中央を貫通。割れたガラスは粉々になり、瞬く間に中央の穴の奥に覗く藍色の空に散った。


地面を割るような衝撃に腰を落とせば、先生は銃をアズマに向けた。
そして煽るように大きな声で叫ぶ。




「出てきなさい! 十秒以内に出てこないと二人を撃ちます」





口元は笑っているのに、こちらを見る先生の瞳は刺すように冷たい。



体が震えた。


それでもなんとか銃を持つ先生の手に触れて、それを私の顔の前に持っていく。大丈夫。先生は撃たない。大丈夫、大丈夫。
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