あかいろのしずく

今足元に転がっている薬莢が落ちた音さえ気づかなかった。それだけ衝撃的だったのだ。でも、事前にアズマからこういうことがあるとは聞いていた。



それが吉と出たのだ。


幸いにも私が得意なジャンルである。


銃の種類は自動式拳銃。次弾を自動的に装填する機能がある。先生の性格と安全面から考えてこれは半自動式。セミオートマチック。

引き金を引いて弾丸を撃つよくあるタイプだ。
回転式の拳銃よりはまだ威力も弱い。



思っていたより驚きはしなかった。


だからこそ、今なんとか場を鎮められる私がここで取り乱すことは許されない。



静かに息を吸って吐く。
気持ちを落ち着かせて、私は銃越しに先生を真っすぐに見つめる。




「ずっとこの時を狙ってたんですか? 演技までして」




先生はカウントダウンをせずに私に聞いた。
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